アゼリア婚式


早や喜寿を越えて
菊枝さんは78歳になった。
出会った時が20歳、21歳になって結婚したから
78-21=57 つまり今年は
結婚57年目ということ。


50年目の金婚式から
もう7年も経ってしまった。
あの頃は幼児だった清一朗や隆春が
少年期を経て青年期の入り口に
達しているのだから


過ぎ去ったとはいえ 貴重な年月だった
と、改めて気付かされる。
われわれの老いと衰が進む時間は
若い世代の成長と発達の時間でもある。
そうして交代の歴史が紡がれる。


金婚の次はダイアモンド婚だと
世の常識は教える。結婚60周年だ。
我々は3年先だね。
この記念日呼称の発生はイギリスだという。
ちょっと調べてみると


1年目紙婚式、2年目藁婚式、3年目革婚式
と、進んで7年目が銅婚式
10年目の錫婚式を経て
15年目の水晶婚式まで
毎年名前が付いている。


あとは5年刻みと言うことだが
世界は広い
あるところにはあるもので
フランスではその先も
なんと毎年の呼称が付けられている。


呼称も違う。
イギリスだと55年目は
エメラルド婚式だが、
フランスでは蘭婚式だという。
では57年目は何と呼ぶのか。


57年目はAzalee(アゼリア)婚式。
アゼリアはツツジのことだ。
漢字では躑躅と書く
難しい文字だから漢語辞典をひくと
ていちょく=行き悩む、とある。


ツツジの語源のひとつは
「続き咲き」だというが
次々と咲く花の美しさに
離れがたく、行きつ戻りつということで
中国では躑躅と名付けたのか。


では、何故に57年目がアゼリアなのか。
手掛かりは花言葉しかない
白いアゼリアは「初恋」
赤いアゼリアは「恋の喜び」
共通は「節度、慎み、禁酒、節制」


Azaleeの語源はAzaleosだそうな
ギリシャ語で「乾燥」の意。
水はけの良い土を好むところから
この名が付けられた
ということらしい。


乾燥だから「禁酒」
禁酒は「節制」
「節度」を保って、「慎み」深く
暮らせ、とは
高齢者の生活態度にふさわしい助言。


57年目ともなれば
人間にもガタが来る。
身体のあちこちに不調が兆す。
それを癒やし、なだめ、
調子を合わせて、健全を維持する。


二人の関係にも
破調の兆しはないか。
不調が有れば、芽のうちに摘み
修復して元に戻す。
僅かずつ肥料を与え、水遣りをする。


そういう意味を込めた
命名だとすれば、
なかなか味のある名前ではないか
躑躅婚ではたじろぐが
アゼリア婚だと語感も良い。


もう、銀も、真珠も、珊瑚も
ルビーも、エメラルドも過ぎて、
目指せダイアモンド。その先には
プラチナが控えている。
70年目は遙かに遠いが、可能性はゼロではない。


それには健康第一
健康維持には、節制、慎み。
禁酒は、節酒と読み替えて
節度を保って生きてゆきましょう。
菊枝さん、よろしくね。

                            2023.8.25
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