金婚式
今年も8月には
原爆忌、終戦忌の催しが行われ
71年目の夏が強調された
この71年間、日本は戦争をせず
戦闘で一人も殺さず
一人の戦死者も出さなかった
地震、津波、原発事故、
地滑り、洪水、通り魔
大惨事も少なくなかったけれど
とにもかくにも平和が保たれて
一面の焼け野原が
高層ビルが林立する街になった
しかし、それは今言えること
あなたが生まれたとき、敗れた日本の行く末は
だれにも分からなかった
日々の食べ物にも事欠き
古びたぼろをまとい
ぼくは馬堀の如意寺に疎開していた
そのあなたとぼくが出会う仕組みが
誰も知らないうちに
戦後の混沌の中で
ひそやかに進行して行ったのだ
主役は、何も知らない
末弟泰弘 その時2歳
その背景は、革新系知事蜷川虎三の
「十五の春は泣かせない」
高校進学学区制堅持
というわけで、あなたもぼくも、
双方の弟たちも京都市立堀川高等学校の
同窓生になった
あなたのピアノ教師の子息が
泰弘と堀川の同級生で
20歳になったあなたが
写真を撮って
ピアノ教師夫人に預け
PTAで知り合った母が
その写真を持ち帰り、ぼくはあなたを見た
ぼくは直ぐに分かった
「ああこの人だ」
出会うはずのないあなたとぼくが
出会ったのは不思議
それは縁、不思議なご縁で
21歳になったばかりの
あなたと結婚式を挙げて
今年あなたが71歳なら
丁度50年
そう、結婚50周年になる
それを人は金婚式と呼ぶ
結婚生活というのは
お互いの努力がいるものらしい
毎年名前がついているのだから
1年目紙婚式、1年経ったのね
2年目綿婚式、2年目も無事
それから革、花、木と年を重ねて
破れる、萎れる、柔らかいものから
堅いものへ、鉄、銅、青銅、陶器、錫
もう壊れることはない
だけど丈夫なだけでは意味がない
結婚生活の内容が大切
中身が充実しているか
二人の関係が
高められているか
貴重なものになっているか
そう、25年が銀婚式
30年が真珠婚式、そして
ルビー、サファイアと
次第に高価なものに
希少なものへ高まり
50年が金婚式
あなたとぼくも
ここまで来たのですね
振り返れば波乱万丈
出来事はたくさんあるが
総括すれば、幸せな歳月だった
憂いなくこの日を迎えられることが嬉しい
まだ先があるよ
エメラルド、ダイヤモンド、プラチナ
その先が面白い。
80年樫、85年ワイン
もう高価なものは必要なく
ただ熟成して香しいだけでいい
ガブリエル・マリ作曲の金婚式という曲がある
1934年に14歳の諏訪根自子が演奏したSPがあるとか
聴いてみたいね
2016.8.25
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