2025上期


冬の晴牧水歌碑は富士背負ふ


猪ここに森のヌタ場の荒々し


山猫や黒き朽葉に足の跡


寒中の浜の人出や星の砂


伝はりし丸餅白味噌朱塗椀


裸木のレントゲンかな斜影映ゆ


富士望む頼朝像に春一番


太鼓焼がぶりと餡に舌焼きぬ


密柑山錆びレールあり人を見ず


街麗ら浦の駅名遠き海


春スキー屋外席混む昼餉時


笑ふ山大匙に映え反り返る


雪崩秘む白銀の沢登る人


パントマイム番ひ鶯啄き跳ぶ


雪虫や光を糧に歩み継ぐ


田起や陽ざしに息上ぐ土玄々


蕗味噌の微かな苦み鬼無里宿


掃き寄せし命の重み落椿


ミツイオーシャンフジにて
礼服の米寿挙ぐ杯春の航


満開を煙らせ花の雨繁し


黒牛の耳に老鶯売らる朝


朝採れの蒜芽百円無人所に


谷戸深く炭焼窯に藤垂るる


食べ終へて閲す葉脈柏餅


ヒュッテ昏るアカシアの花天ぷらに


閉ざされし牧場の真中余花白し


蜘蛛垂るる煤けて太き曲がり梁


母と子の田植体験泥温し


白夜光ナウマンゾウの牙長し

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