2023上期


武を捨てし歳月閲みし雪催ひ


空の巣で箱根駅伝観てをりぬ


柏手や異国の人の初詣


初明かり火廼要愼の祀符黄ばむ


岬では千五百円安破魔矢買ふ


防衛予算GDP2%
来し方へ戻る岐路かな風疼く


小走りで鯛焼二つ温きまま


小さき掌も握る一粒鬼遣らひ


けふの便枯葉ひと葉の郵便受(ポスト)かな


若きらを追ひし二時間スキー愛し


ランドセル登り来し坂梅一輪


皺の貌椿は盛りの最中落つ


梅の丘貴賓馬見所朽ちてなほ


鴟尾の金列柱の丹に春日照る


仔もお辞儀真似ぶ参道春の鹿


花吹雪幼な双手を挙げ叫ぶ


一片の花びら髪に妻帰る


落花踏む履き初めの靴躊躇はず


憩ひの野そっぽ向き合ふ二輪草


春休みいのち不思議の種子比べ


冥王の後悔秘めて黄水仙


越後晴る斑雪(はだれ)連嶺光る帯


浮かぬ顔花屋を覗く啄木忌


活きを煮る新玉葱は丸のまま


柱穴冥き遺跡や皐月富士


不覚かな名手滑落夏スキー


スプーン圧す採りたて苺応へをり


「水羊羹どうぞ」と留守の妻のメモ


名はごちそう小ぶりトマトの値札かな


名人位攫ふ二十歳の青葉風


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