2021下期

梅雨の町骨折れの傘棄てかねて

雨漏りの受け壺溢れ吊り忍

長靴を履けば子ら踏む梅雨の穴

山津波七夕飾る湯の宿も

老鶯や五十路目論む院後期

十日後に生れし妻の敗戦日

力闘を讃へあふ顔光る汗

篭が受く遠投の球秋立ちぬ

両手挙げ跳ねし女闘士青蛙

聖火消え人去りてより星月夜

疫の世や富士の初雪今朝の幸

闌けてなほ咲き継ぐ百日草
(ジニア)あるじ逝き

一家皆画面と対話地虫鳴く

味自慢ニ十個注文傷の梨

窓開きニニロッソ聴く夕月夜

覚めぬ妻六年看取りし友に秋

種子も崩ゆ踏まれ銀杏バス停に

出品展の当番果たす台風裡

秋嶺を登る誘ひに楓の絵

値札見て過ぎし秋刀魚や空青く

金色に燃ゆ落葉松や秋闌くる

調理終ふ戻らぬ二人暮れ早し

小屋閉鎖知りつつ凍てし峠道

シモバシラ透けて咲き出づ霜の華

足老いて未踏の岩稜雪鎧ふ

枝先に覗くは冬芽バスを待つ

岳友と町で会う身や歳の市

冬日低しわが影長く頭の小さく

山頂やおでんの湯気に時紛れ

鄙の湯へ山下り来て牡丹鍋

俳句INNDEXへ