2020下期
          
踊る影揚羽の番ひ戯れて
         
 予定消え甚平のまま暮らす日々
         
 疫神を祀り千年鉾の町
          
芝刈機溜まる微塵に青香る
          
いのち食ぶ土用蜆を酒蒸しに
          
月光の刻める襞や比叡山
          
蕎麦会席灯すを控へ月を待つ
         
 竜踊る高き天井秋浅し
          
疫深し鱧の湯引きに偲ぶ京
         
 舌が知る青唐辛子一直線
         
 湿原の葉月や花は濃紫
          
吊る窓辺病む子の触れし吊るし柿
          
青蔦に絡め捕られて室外機
          
廃屋に山百合二輪谷の村
         
 高々と南極指して星流る
         
 板壁の抜け路地海へ雁渡し
         
 尾花散る佐渡の北端二つ亀
        
  山の旅熟柿と夕陽家苞に
         
 奔放の四天王杉鰯雲
          
写経とて秋の蚊打つをためらはず
         
 落暉めく渋柿三つ古笊に
          
笑顔の座笑む禿頭に炉の火映ゆ
         
 小春日や描く曽遊の白き峰
         
 榾火燃す友は手練れの山男
          
称賛は蕪のポタージュ爺の作
          
どぶろくは三盃こつきりひとり鍋
         
 大ゆり根厨にごろり冬暮光
         
 容赦なく活き脚捌き甲羅酒
         
 身に馴染む旧き毛のシャツ針仕事
         
 風呂吹きに交響曲
(だいろくばん)がよく似合ふ

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