2019年下期
谷空木紅挿す導べ登山道
大山詣あとは豆腐へ女坂
瑠璃鳴くや登頂のワイン空へ挙ぐ
三峰描く黒雲迫る梅雨晴れ間
癌に放射三カ月ぶり夜のビール
睡蓮咲くモネに会ひたる昼下り
バルコニー梁のアーチに彫り家紋
深き夏洞門くぐり時代を訪ふ
三伏や屋形船の灯川に溶け
氷河圏谷(カール)老ゆ痩せし雪渓鳥一羽
エジプト3句
灼くる岩坐像の王は四体並む
砂と陽と無花果の裂けナイル航
三千年の彩色(いろ)活き活きと旱天
野辺山
顎上げて憩ふ電波望遠鏡(パラボラ)玉菜畑
赤岳に捧ぐ病む膝青胡桃
七尾割く秋刀魚で生ハム巻く漢
雲透かし描く山稜炉火恋し
暮夜ひとり蓑虫垂るる露天の湯
天高しからくり変化仰ぎ見て
地の紅は水没林檎千曲川
金のまま免許返納秋落暉
次々と個展はがき来台風期
午後ひとり南瓜でプリンに腕捲り
五十枚減らす賀状や干支七周
欠礼に賀状は欲しと付記小さく
鷹の夢はやぶさと競り宙の果て
宙か海か炉辺で竜宮質さるる
音絶えて紅葉に雪の無人駅
閑さや雪雫鳴る奥の院
今年また友の貌減り河豚の鍋
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