2019年上期


二代生き新元号の年仰ふ

平成を限る朝賀にひと溢れ

子も五十路一碗で置く雑煮箸

煉瓦錆ぶ京のバーの灯古日記

眠れるや妻問ひ掛くる柚子湯かな

ピレネーへ半壽のスキーエッジ研ぐ

甲武信岳(こぶし)描く蠟梅の香に筆浸し

紅梅や一筆ごとに温み生れ

旅立ちの吾子振り向かず春の雪

少女死す助け求む鳥雲に

座は山頂富士正客に初点前

ペダル漕ぐ柔らかき壁春一番

筍剥くその名の暮らし知ってをり

命なり津波の跡の福寿草

巣は空にひとり父継ぐ春スキー

辺野古
埋めらる民の想ひや春の海

ワルシャワ5句
爺が御す旧る昇降機日永なる

廃墟より復元の古都風光る

春の陽に弾痕翳る広場かな

屋根蒼きショパンの生家花匂ふ

風眩し四囲果て見えぬ地平線

白シャツの皇
(すめらぎ)猫背慰霊の旅

(すめらぎ)を支へつ蚕養后(きさき)ゆえ

成し遂げて残る夕陽にケルン積む

新緑を妻と浴びをり富士真白

雷光にすくむや途端四囲震うふ

父と子の溝埋め難し蝦蟇の声

葉は盛ん梅の実成らぬ老樹かな

梅雨寒や淹れる珈琲二杯分

妻は旅詩を案じつつ芝を刈る

卒寿ゐて七夕集会一時から



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