2018年上期
母の唄「唐土の鳥が」と薺打つ
お主まで「今年限り」の賀状かな
一等賞願ふ幼や初詣
屠蘇の座の人に酔ひたる高校生
七福神若きら嬉々と銭洗ふ
熱燗や煤けて遺る自在鉤
地の息吹き湯気高く立つ湯元かな
雪の駅遺す「田口」の古標識
廃標識
消ゆる名を蒐む媼と語る炉辺
廃スキー並べて時代語りをり
波うらら白兎を祀る社古り
春暁の窓に大山(だいせん)溢れたり
美保が関
北前船果つる港や春障子
石垣の崩れし二の丸黄水仙
一面の菜の花富士を支ふ正午(ひる)
バス青色陽に煌めかせ四月来る
留守三日大輪積もる椿掃く
ものの芽や時測るすべ持つ命
花の香もジャムに成したる桜かな
湯に開く桜のジャムやけふの妻
絵は魁夷芍薬を剪る指細し
天不興一度で済まぬ更衣
灯涼し青磁の皿に糸造り
夏場所や若きが賞を鷲掴み
笊要らぬ程の実梅や進老い
児が転ぶアイスクリーム掲げ来て
母と子の氷菓は一つ匙二つ
各戸訪ふ新入社員雨激し
父の日暮る約せし便り着かぬまま
俳句Index