真青句集

2017年下期



町衆の紡ぐ祭りや鉾動く

在宅で存らふ命水羊羹

卯建並む宿場の軒を古日傘

掌を翳し駆け込む軒端白暖簾

麦嵐馴染みし帽子川の面に

黒南風や色褪せポスト円筒形

雨を乞ふ遺産になりし棚田かな

槍頂上笑顔の握手海の日に

天と地の怒りや斯くも梅雨激し

謙譲の姿盛事も釣鐘草

欺きを質す声あり宵閻魔

老いる国宰相の汗誰がために

私擬憲法人権高らか雲の峰

虎の意を量る面々鮓熟るる

禿頭に馴染むピケ帽芝を刈る

人に酔ひ腰を砂上に花火待つ

児の触るや仰臥落ち蝉ぢぢと啼く

玄関に小さき靴並む盆休み

待宵や更けて会ひ寄る屋形船

屋形船集ふお台場灯の涼し

鱧求め店廻る妻京遠し

天裂けて電車も停まる大夕立

遅参詫ぶ電車も停めし大夕立

まず五分歩速八キロ玉の汗

孫ら旅水遣り当番鳳仙花

賜るは眼に食欲の茄子胡瓜

笑顔にて冷菓は一つ匙二つ

初紅葉山に傷みし友癒えず

妻は旅女声語は風呂夜長し

一人旅バスの窓打つ赤蜻蛉

黄葉てふ名の彩万化絵筆投ぐ

ひと葉ごと揺るる楓や照黄葉

母校閉ざす郷里の便りや暮れ早し

ロメオ駆る看護婦のけふ秋日和

看護婦のくすみしリング秋湿り

夕冷えや術後二週の尿奔る

尿の色もどりし静夜新酒酌む

湯気と香を共に注ぎけり土瓶蒸し

耳成山へ迫るコスモス田は失せて

稲穂垂る孤塁を残し花圃囲繞

石の庭濡れ色に映ゆ紅葉の朱

時支ふ廃都の門址破れ芭蕉

仲代達矢
場を攫ふ勁き眼遣ひ秋芝居

新雪の連嶺頭飾り
(ティアラ)に富山湾

千枚の刈田夕陽と海へ落つ

補欠の子後ろにしゃがむ運動会

南座や顔見世控へ大修理

鳥海山へ続く山並火恋し

煌々と地下鉄構内美術展

露天風呂巨大船往く小春凪

湯上りの妻老けにけり鮟鱇鍋

十二月八日
河豚の会八日と決めし人偲ぶ

樹氷越し月山白き放物線

失敗談くべるストーブ蔵王の夜

寄せ植えにポインセチアは交わらず

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