2015年上期
京都北山・ヒノコ小屋
火入れ式薪ストーブに招かるる
九十路の師病床の意気暮れ早し
天気図の縦縞期待スキーの季
受験子に書斎とられて歳の市
柚子風呂に逝きし同期を数へけり
湿原や上空狭む鷹の舞ひ
初御籤秘すれど妻の上機嫌
雑煮の座不惑を超えし子ら揃ふ
空きしまま注連飾りバス灯台へ
白富士に対せり春泥重き靴
氷壁をロープウエイの影昇る
ドロミテの村
遠近の鐘に目覚むや渓は雪
ホットワインに和む睫毛や谷凍てて
雪激しグラッパてふ火酒舌を焼く
スキー脱ぐ「蛍の光」三度聞き
報せ待つ庭前の梅満開に
時差17時間
深夜飛ぶ昨日への旅目借時
サンフランシスコ
豊かさに殖ゆる宿無し街遅日
開花への吐息は泡に剪り椿
卒園式母の涙は子の不思議
花吹雪陽を満身に子ら駆ける
誕生日穴出し虫除けて掃く
美顔器を使ふ妻なり残る花
進学の孫を祝ひて山の旅
惣岳山
黒勁き半身炭化の木々芽吹く
針の穴ほどの紫蘇種子芽立ちけり
囚われの双葉窓辺へ傾ぎけり
至仏山
春スキー眼下は白磁の尾瀬ヶ原
長き下山老鶯長声頭上より
五顆成せし梅の老樹や採らずおく
木道や奥へ誘ふ閑古鳥
残雪の頂渇仰し明け待たず
一山を蝉三種成すハーモニー
振り向けば躑躅燃え立ち怒る山
峠指し選ぶ旧道蕨出づ
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