2014下期
二人展傘寿喜寿てふ夏の鴛鶯
尾瀬・燧ケ岳
風に乗る7000尺の夏スキー
昭和村・水芭蕉祭
吹いて食ふ鮎の串焼き里祭
黙す二人チャイコフスキーに青嵐
蟻走る難問解けぬ只講座
人往ぬや月下美人はいま開く
冷素麺友の葬儀は身内のみ
甲州高尾山
若葉揺る背面炭化の木々盛ん
日は西にスワンボートは五組待ち
腹掛つ子スタンプラリーの肩車
傘寿らも濡れつつ登る緑雨かな
梅雨荒れて開けぬ画帳温泉(ゆ)を目指す
神功皇后凱旋船鉾復興
木の香たつ大船鉾や后祀る
町衆吉付入り式
絽羽織や背の紋所勢揃ひ
伸ばす腕枇杷熟れる枝水の上
朱の膳は亡母(はは)より妻へ盆供養
大文字呆けし母は眼を開けず
京思ふ湯引きの鱧の身の厚き
夏山の誘ひ受けざり小さき嘘
口辺の彩は南瓜や二歳半
乙女とて日焼けの極み対戦す
爺製す冷製スープ二歳病む
東アジア
かちわりに高級品ありジャパン製
喜寿傘寿ら穂高目指して敬老日
朝涼に長途へ一歩小屋静か
斜度増すに心拍応じ玉の汗
白南風や聳ゆ岩壁垂直(たて)に這ふ
岩灼けて支点を探る指の先
「下方(した)見るな」と先達叱咤崖滴り
驟雨来て身を託したる鎖鳴る
高き天小さ祠祀る剱岳
秋の航満帆仰ぎカンヌ発つ
温き冬高齢並び山手描く
風車に冬フランス山に時巡る
拍手浴びどんじりゴール鵙の晴
漏り初めて鳴るパンケース台風期
御嶽噴火
容赦なき噴石浴びぬ紅葉狩り
火の山に居合はせぬ吾(あ)も残る虫
主逝きて弁当遺る秋の嶺
骨上げの母の軽さよ冬立ちぬ
遮断機が隔てし母子汽笛冴ゆ
色かたち地に敷く落葉の主張かな
ペダル漕ぐ膝に運ばる枯蟷螂
ふたり老ゆ庇護は硝子戸冬の晴
大仏次郎記念館
直筆稿遺す推敲冬館
真青句集